住友林業は、デザイン・性能・保証アフターサービスの全てが高品質な、大手ハウスメーカーです。
無垢の床など上質な木をふんだんに取り入れた、木質感のある気持ちの良い家づくりを行なっています。
そんな住友林業では、「ビッグフレーム構法」を採用しています。
「ビッグフレーム構法って何?」、「どんなメリット・デメリットがあるの?」、「SE構法と何が違うの?」
そんな疑問を持たれている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、住友林業のビッグフレーム構法とはどんな構法なのかについてやメリット・デメリット、耐震構法のSE構法との違いを解説しています。
住友林業で建てたいけど、ビッグフレーム構法がどういう構法なのかしっかりと勉強しておきたいという方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
ビッグフレーム構法とは?
ビッグフレーム構法とは、幅560mmのビッグコラム(大断面集成材)を主要構造材として使用している構法です。通常使われる105mm角の柱の約5倍の幅もあるので、地震にも強い優れた耐震性能を持っています。
また、高い耐震性だけでなく、この構法によって大開口・大空間も実現でき、自由度の高いプランニングも実現できます。
災害時に備えた強固な構造で家と家族を守りながら、自分たちの希望をしっかりと叶えられる設計による自由度の高さがビッグフレーム構法の大きな魅力です。
ビッグフレーム構法のメリット
ビッグフレーム構法には、5つのメリットがあります。
- 高い耐震性を有する強靭な構造
- 木質梁勝ラーメン構造による自由度の高い間取り
- 幅560mmのビックコラムによって実現できる大空間
- 引き込み戸やコーナーサッシを取り入れやすい
- 構造体が強固なので、3・4階建ても建築可能
ビッグフレーム構法を採用する住友林業で家を建てることで、上記のメリットが得られます。
これらもメリットについて詳しくみていきましょう。
高い耐震性を有する強靭な構造
1つ目のメリットは、高い耐震性を有する強靭な構造。日本は地震大国ということもあり、どの大手ハウスメーカーや工務店でも耐震性能には力を入れています。しかし、中でも住友林業の耐震性能はかなり優れています。
その優れた耐震性能は、「ビッグコラム」と、「メタルタッチ接合」によって実現されています。
柱幅の大きなビッグコラムは建物を支える耐力壁としての役割も果たしており、高精度なオリジナル金物を使ったメタルタッチ接合により、ビッグコラム・梁・基礎が一体化されて地震や強風などの外的要因から家を守っているのです。
実際に、大地震を想定した振動実験を行ない、ビッグフレーム構法によって建てられた3階建ての実物大モデルの耐震性能の検証も行なっています。その結果、東日本大震災と同等の震度7(最大加速度2,699gal)の揺れだけでなく、その数値を遥かに上回る揺れに余裕で耐えられるほどの強さがあることが証明されました。
また、東日本大震災の震度7を2回、阪神・淡路大震災の震度7を20回を含めた合計246回の加振による振動実験も難なくクリアしています。
この実験からでも、ビッグフレーム構法が強靭な構法であることがわかります。
木質梁勝ラーメン構造による自由度の高い間取り
2つ目のメリットは、木質梁勝ラーメン構造による自由度の高い間取りが叶う点です。
ラーメン構造とは、柱と梁で強固に結合されて作られた構造躯体のこと。木質梁勝ラーメン構造は、ビッグコラムをオリジナル金物を使って柱と梁と基礎を一体化させ、住友林業がビッグフレーム構法として木造住宅で初めて実現した工法のことをいいます。
従来の木造軸組工法だと、通し柱と呼ばれる下階と上階を繋ぐ柱が必要な「柱勝」の構造となっていますが、ビッグフレーム構法は通し柱の制約がない「梁勝」の構造です。そのため、1階・2階で異なる位置に柱を配置することも可能で、間取りの自由度が非常に高くなります。
引用元:グッドデザイン賞
「本当はここに柱は欲しくないんだけど、構造上入れなければならない」
「もっと2階の間取りを工夫したいけど、柱や壁の制約があってうまくできない」
といった間取りの制約は、ビッグフレーム構法にはありません。
構造躯体に関わらない場所であれば、自由に自分の思う間取りを実現できます。
幅560mmのビックコラムによって実現できる大空間
3つ目は幅560mmのビックコラムによって実現できる大空間です。
引用元:住友林業 BF構法
従来の木造軸組構法は、柱と柱の間に「筋交」を入れたり、合板を使って耐震性を確保しています。
ビッグフレーム構法は、ビッグコラムそのものが耐力壁となっており、優れた耐震性を確保しながら大開口・大空間を実現。
大開口は、最大で5.2mまで可能。
大きな窓を設置したり、柱や仕切り壁のない広いワンフロアなど、開放感あふれる家づくりもできます。そして、天井の高さも自由に変えられます。標準は2.4mですが、2.6m・2.8m・3.1mと調整でき、床を約42cm下げることで最大約3.52mの天井高をとることできます。
例えば、LDKの南側の一面に天井までの大きな窓を取り付けたり、壁や柱のないアイランドキッチンを設置したりもできるなど、「できない」設計はほとんどないといえるでしょう。
引き込み戸やコーナーサッシを取り入れやすい
4つ目のメリットは、引き込み戸やコーナーサッシを取り入れやすい点です。
引き込み戸とは、戸を開ける際に壁の中に扉を引き込んで使う扉のことです。引き込み戸ができると戸を引き入れるスペースが見えないため、見た目をすっきりさせることが可能となる設計です。この引き込み戸を取り入れるには、構造上影響のない間仕切り壁が無ければ、扉を壁のなかに引き込んで使うことはできません。
従来の工法の場合、引き込み戸を使いたくても構造上取り払うことができない柱や壁があると引き込み戸を採用できないなどの制限があります。しかし、ビッグフレーム構法はビッグコラムやメタルタッチ接合によって強靭な構造が出来上がっており、内部の壁はほとんどが構造上影響のない間仕切り壁です。つまり、構造や耐震性に影響が無い壁なので、引き込み戸が作りやすくなっています。
コーナーサッシとは、建物のコーナー部分に設置する窓のことをいいます。一方向だけでなく二方向に窓を付けることで、視線の抜けを演出でき、より開放感を感じられる空間づくりができます。
しかし、耐震性を確保するためにコーナーには耐力壁が使われることが多く、コーナーサッシを実現するのが従来の工法では難しいことでした。ビッグフレーム構法なら、建物の四隅にある柱を移動させることも可能で、コーナーサッシによって開放的な明るい住空間を生み出すことも可能です。
構造体が強固なので3・4階建ても建築可能
5つ目のメリットは、構造体が強固なので3・4階建ても建築が可能という点です。
住友林業では、ビッグフレーム構法の強靭な構造を利用して、3階建て・4階建ての家づくりも行なっています。
都市部だと、土地の価格も高くて坪数も小さく、2階建てでは生活空間を十分に確保できないという場合もあります。そんな時、3階・4階建てにすることでより快適に過ごせる家づくりが可能ですが、地震に備えて強固な構造で家を建てなければなりません。
ビッグフレーム構法は、3階・4階建てでも取り入れることが可能です。家への負荷がより大きい3階・4階建てでも地震や強風に強い家づくりができるので、限られた土地の広さを最大限有効活用して家を建てたい方にはおすすめです。
広さの限られた狭小住宅だと、室内に壁や柱が多いとさらに狭く感じてしまいます。
ビッグフレーム構法なら、柱や壁の制約がほとんどないため、狭小でも室内は広々と開放的な空間づくりが可能で、自由度の高い設計を可能としています。
例えば、上下空間を活用できるキャンティレバーも、ビッグフレーム構法なら可能です。
キャンティレバーとは、上階を下階よりも張り出す設計手法のことで、ビッグフレーム構法を使うことで最大1.82mの張り出しもできます。張り出し部分の下の空間は、カーポートやテラスとして利用したり、上階部分は広いバルコニーや居住空間としても利用可能です。
他にも車2台分のビルトインガレージも実現できます。
従来の木造では、大開口・大空間は難しく車2台分止められるビルトインガレージを設計するのは難しいとされていました。しかし、ビッグフレーム構法なら、車2台分でも余裕で止められるように開口部を設計できます。
このように、ビッグフレーム構法だからこそできる設計プランも多く、お客様の思い描く家づくりが可能です。
ビッグフレーム構法のデメリット
メリットの多いビッグフレーム構法ですが、デメリットも存在します。
- 初期費用が高い
- メタルタッチ接合が錆びる可能性がある
- ビッグコラムは集成材でできている
- 職人技術で仕上がりが左右される
- コンセント・スイッチが設置できない場合もある
上記の5つのデメリットについて見ていきましょう。
初期費用が高い
1つ目のデメリットは、初期費用が高いことです。
他のハウスメーカーの坪単価も合わせて表にまとめて比較してみました。
社名 | 坪単価 |
住友林業 | 65万〜110万円 |
積水ハウス | 65万〜120万円 |
トヨタホーム | 55万〜115万円 |
三井ホーム | 50万〜140万円 |
セキスイハイム | 59万〜130万円 |
ダイワハウス | 70万〜150万円 |
一条工務店 | 50万〜90万円 |
タマホーム | 35万〜65万円 |
アキュラホーム | 50万〜80万円 |
上記の表から、住友林業の坪単価は1坪あたり65万〜110万円です。
つまり、30坪の家を建てると建物本体価格は1,950万〜3,300万円、40坪なら2,600万〜4,440万円かかるということです。
積水ハウスやダイワハウスなどの大手ハウスメーカーと比較すると若干安いですが、一条工務店やタマホーム、アキュラホームと比べると坪単価は高めであることがわかります。
ビッグフレーム構法は品質の高い木材を使用していることから、必然的に初期費用が高くなってしまいます。
住友林業の坪単価が気になる方は、こちらの記事もご確認ください。
メタルタッチ接合が錆びる可能性がある
2つ目は、メタルタッチ接合が錆びる可能性がある点。
ビッグフレーム構法は、メタルタッチ接合によって強靭な構造を作り上げています。しかし、金物を使っているということは錆びる可能性があるということです。
金物が錆びてしまうと、腐食が進み、建物の強度を落としてしまいます。
地震に強い建物なのに、金物の錆によって強靭な構造が損なわれてしまう恐れがあるのです。
ただ、対策として金物が錆びないように、防腐処理を施されているため、それほど神経質に心配はする必要はありません。
ビッグコラムは集成材でできている
3つ目のデメリットは、ビッグコラムは集成材でできている点です。
ビッグコラムは、一枚板でできているわけではなく、集成材でできています。
無垢材には強度にばらつきがでやすく品質を見極めて木材を選定するのにも時間がかかるため、大量生産するには向いていません。
集成材なら、品質にばらつきが出にくいです。製造するのに高度な技術や設備は必要ですが、一定の品質を保ちながら大量に木材を生産できるため、ビッグフレーム構法では集成材が採用されています。
ただし、集成材には接着力が弱いことがデメリットです。
集成材は挽き割った板材を接着剤で貼り合わせており、ビッグコラムは「水性高分子イソシアネート系接着剤」が使われています。
この接着剤を使った集成材の中には、建物を建てた後に剥離するという事件が過去に起きています。
過去にそのような事件が起きているにも関わらず、同じ接着剤が使われているということは少し心配になる点ではないでしょうか。
職人の技術で仕上がりが左右される
4つ目は職人の技術で仕上がりが左右されている点。
住友林業の注文住宅は、子会社の「住友林業ホームエンジニアリング」や下請け工務店が実際の現場を施工しています。下請け会社は技術が会社によってバラバラで、職人の腕によっては仕上がりに大きな差が出ることがあります。
住友林業で建てた人の中には、高い建築費を支払ったにも関わらず仕上がりが悪かったといった口コミもあり、施工業者の当たり外れがあるようです。
ただ、他のハウスメーカーでも下請け会社に施工をお願いしているところが多いため、ビッグフレーム構法だからあるデメリットというわけではありません。
コンセント・スイッチが設置できない場所もある
5つ目のデメリットは、コンセント・スイッチが設置できない場所もある点です。
ビッグフレーム構法を採用することで、大開口・大空間のワンフロアを設計することが可能です。
しかし、大きな窓をつけたり、柱や間仕切り壁のないフロアを作ると、コンセントやスイッチをつける場所に困ってしまいます。
また、ビッグコラムには穴を開けられないという制限もあるため、見た目には壁でもそこにコンセント・スイッチを施工することはできません。
コンセントは床に設置することもできますが、あまり見栄えがよくないと感じる人もいるかもしれません。
また、設置したい場所に照明のスイッチが付けられないと、動線が悪くて使いにくくなる可能性もあるでしょう。
ただし、ビッグコラムはミリ単位で場所を移動できるので、スイッチの配置で困ったら、ビッグコラムを移動させれば問題ありません。
家の間取りを考える際は、スイッチやコンセントの位置も考慮しながら設計士にプランニングしてもらいましょう。
ビッグフレーム構法とSE構法の比較
SE構法とは、株式会社NCNが提供している耐震構法です。ビッグフレーム構法は住友林業でなければ施工できませんが、SE構法は登録施工店になれば施工可能です。現在では全国に500社以上の会社が登録しています。
どちらも高い耐震性を有し、木質ラーメン構造でできていることから、比較されることがよくあります。
ここでも、ビッグフレーム構法とSE構法を比較し、どのような共通点・違いがあるのかを見ていきましょう。
ビッグフレーム構法とSE構法との共通点
共通点は、どちらも木造でラーメン構造を採用している点です。
ラーメン構造は建物を支える縦の柱と横の梁を強固に接合して一体化させることで、強靭な構造躯体を作り上げています。木造の場合は接合部分に金物を使って強力に固定しています。
ラーメン構造のメリットは、筋交いや耐力壁が必要なく、大開口や大空間が取れるという点です。また、ラーメン構造は、構造部分以外は室内空間を自由に構成できます。そのため、構造部分はそのままで将来間取りが変更しやすく、ライフスタイルの変化に合わせてリフォームが可能です。
ビッグフレーム構法もSE構法も、その時の生活や家族構成に合わせて暮らしやすい間取りに変更しやすくなっています。
ビッグフレーム構法とSE構法との違い
ビッグフレーム構法とSE構法の違いは、ビッグフレーム構法で使われているビッグコラムがSE構法では使われない点です。
SE構法では、120mm角の柱が使われており、通常の105mm角の柱よりも太い柱を利用しています。
柱が太い分、室内空間が狭くなりやすいことから、できるだけ空間を有効活用したい狭小住宅には向かない構法です。
他にも2つの構法には大きな違いがあります。それは、ビッグフレーム構法は梁勝で、SE構法は柱勝ちであるという点です。
柱勝ちの場合、1階と2階で同じ位置に柱が必要になってきます。そのため、柱や間仕切りのないワンフロアを作りにくく、上階の間取りにも制約ができます。梁勝ちだと、上階と下階の柱の位置を合わせる必要もないので、ビッグフレーム構法の方が遥かに間取りの自由度が高いのです。
また、SE構法だと、上階・下階を繋ぐ通し柱が必要になり、できるだけ建物の四隅に設置されます。そして建物の四隅の通し柱や主柱の近くに耐力壁を設置することになっているため、ビッグフレーム構法でできるコーナーサッシは作るのが難しいです。
最大開口部の長さにも違いがあります。
ビッグフレーム構法だと5.2m、SE構法は最大9mまで可能で、SE構法の方が大きな開口部を作ることが可能です。
【実録】アンテナ主がビッグフレーム構法で家を建てた感想
アンテナ主の建てた住友林業の家もビックフレーム構法です。
我が家では、2階リビングに向かう階段の先にコーナーサッシを設けました。
南側に面しているので光が降り注ぐようになっており、開放的です。
また、ビックフレーム構法により、リビングは27畳と非常に広い空間を確保。途中に柱もありません。
これはビックコラムにより構造上必要な柱を少なくできたことで実現できた大空間だと言えます。
デメリットにある通り、ビックコラムが位置している箇所にはコンセントや、引き戸を壁内に入れる事ができる「引き込み戸」が作れない。といった設計上の制限は発生しましたが調整可能なレベルで、大きな設計変更が必要となったことなかったです。
個人的にはデメリットよりもメリットの方が圧倒的に大きいと感じています。
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まとめ
住友林業のビッグフレーム構法は、地震に強く間取りの自由度も非常に高い構法です。
自由なプランニングで、自分の理想を叶えやすいという大きな魅力があります。
3階建て・4階建てを木造で建てたいと思っている方も、ビッグフレーム構法なら叶えることができます。
ただ、初期費用が高くなりやすく、職人の技術に左右されやすいなどのデメリットもあるため、デメリットを理解した上で住友林業での家づくりを進めていきましょう。